第14回全国建設青年会議 全国大会 提言
アメリカの金融危機を契機とした急激な経済の落ち込みに対し、08年度第1次・第2次補正予算、09年度補正予算が編成され、建設産業界にもようやく明るい兆しが見え始めていました。
しかしながら、景気対策補正予算の一部が凍結され、また10年度概算要求での公共事業費は前年度比14%減とされるなど、社会資本整備を取り巻く環境は更に厳しい状況に向かおうとしています。
今、わが国においては、限られた財政の中、「無駄の排除」「効率的な事業執行」を行いながら、真に必要なインフラ整備を推進する施策が求められます。
社会資本整備を担う建設産業従事者は、全国で462万人と全産業の約8%を占め、地域経済や雇用を支える重要な産業であります。
急激な公共事業費の削減は、企業存続の危機であり、地域経済の更なる悪化、企業倒産の増加、失業者の増大、治安の悪化、国土の荒廃を招きかねません。
一方、わが国は、島国であり、全世界の地震エネルギーの10%に値する地震多発地帯に位置するなど、他国に類のない脆弱な国土であります。
加えて、地球温暖化に起因するといわれているゲリラ豪雨など世界的に予想をはるかに超える自然災害が頻発しております。
政府では、国の予算配分にあたり「コンクリートから人へ」の方針を掲げております。現在の少子高齢化を勘案すれば社会資本整備を積極的に実施できる期限は限られておりますので、安全・安心で質の高い社会資本整備を提供することも、国民生活・暮らしを支える重要な課題だと考えております。
我々建設産業は、地域の安全・安心を守る良質な公共構造物の提供、維持・管理を行うと共に、地域の地形・地質等を熟知した技術集団として災害発生時における応急復旧支援など地域における様々な地域貢献を果たし、さらには雇用の創出と納税という使命を担う、極めて社会的役割が高い重要な産業であると自負いたしております。
政府においては、建設産業における企業の合併、農林業への転職・転業等の意見も出ておりますが、地域の建設業が果たす使命の重要性を認識され、適正な利潤の確保により、地域経済の発展と雇用の拡大に寄与すべく持続的な経営を行うことができる実効ある施策の実施を望むものであります。
我々全国建設青年会議は、この度の政権交代による大転換期を機に今後益々各企業において社会的責任(CSR)を果たしながら、「地域社会の発展に貢献する技術集団」として建設産業の原点である“ものづくり”の魅力・すばらしさを継承していかなければなりません。そのためには、公共投資に依存するだけでなく、民間の力を誘発する新しい社会に向けた建設業のネットワークの構築が不可欠であり、
地域経済の活性化と雇用を守る責務を果たしながら、構造改善に取り組んでいく必要があります。
特に、我が国の高度な技術・技能を継承していくため、建設産業を担っていく若者にとって「生涯を託せる魅力ある産業」となれるよう最大限の努力をする必要があります。
全国建設青年会議は、上記のような問題認識のもと、「魅力ある建設産業に向けて」をテーマとして、第14回の全国大会を開催しました。本日の全国大会の成果として下記の取り組みを提言します。
記
1.「将来のインフラ整備に向けて」
・脆弱な国土と頻発する自然災害に対する地域の安全・安心対策の 推進
・ 真に必要な公共事業と無駄な公共事業の選考基準の明確化
・ 国際競争下の中・長期的な国家戦略としてのグランドデザインの確立
など、地域住民や報道機関等に対する理解促進活動の実施
2.「建設産業全体の政策展開について」
・公共事業の大幅な削減による建設従事者の失業対策
・「技術と経営に優れた企業」の合併等支援策
・日本の優れた技術・技能の継承対策
など、関係機関への積極的な提案活動の実施
3.「建設生産システムの改善策として」
・品質確保対策並びに優良企業の適正な評価
・技術と経営に優れた企業の適正な利潤確保対策
・建設従事者が生涯を託せる地位向上策と賃金確保対策
など、建設産業自らの努力とともに、関係機関との一層の連携促進
平成21年12月1日
第14回全国建設青年会議 全国大会
。
|